Lingva Demandokesto ことばの質問箱 横山裕之編 <5><6>
◆質問 月や曜日の省略形
英語ではJanuaryの省略形ならJan., MondayならMon. となりますが、エスペラント語では省略形はあるのですか。
●回答 あります。これについては、『エスペラント日本語辞典』の付録の略語とmonato, semajno のコラムのところに載っています。
1. 月: monato(月)の略号については、ほとんど語頭から3文字で略号としてます。すなわち、jan. feb. mar. apr. maj. jun. jul. aŭg. sept. okt. nov. dec. です。特別なのはsept.です。これは、数詞sep(7)との混同を避けるためと考えられます。
2. 曜日: semajno(週)の略号については、語頭から3文字の略号と語頭から2文字の略号があります。つまり、lun./lu. mar./ma. mkr./me. ĵaŭ/ĵa. ven./ve. sab./sa. dim./di. です。特別なのがmerkredoの3文字略号のmkr.です。なお、世界エスペラント大会の申込書では水曜日の略号として、merが使われていました。(回答:編集部、その他)
◆質問 -nが付く名詞の後の形容詞
Li farbis sian biciklon ruĝa.のruĝaはどうして対格にならないんですか?
●回答 対格にすることもできますが、意味が違ってきます。
形容詞には2つの用法があります。
①名詞を修飾する用法。この際は、名詞と形容詞で数・格を一致させます。(修飾的用法)
②上例のruĝaのように、直接に名詞を修飾しない用法。この場合は対格にしません。(叙述的用法)
PMEG*には、
25.1.2. Perverba priskribo de objekto
① Vi farbas la domon ruĝan. (= Vi farbas la ruĝan domon.) Ruĝan estas ĉi tie rekta priskribo de la domon. = Vi farbas tiun domon, kiu jam estas ruĝa.
② Vi farbas la domon ruĝa. = Vi farbas la domon tiel, ke ĝi fariĝas ruĝa.
とあります。これに準拠すると
① Li farbis sian biciklon ruĝan.
では、ruĝan は、自転車を直接修飾するので、
「彼は、自分の赤い自転車を塗った。(何色にかは不明)」となります。質問文は②でLi farbis sian biciklon ruĝa.だと、ruĝa は、動詞 farbis を介して自転車を修飾するので、PMEGの例文に準拠すると、Li farbis sian biciklon tiel, ke ĝi fariĝas ruĝa. 「彼は、自分の自転車を赤く塗装した。(塗装したという行為で赤色になった)」となります。また、『エスペラント日本語辞典』のp.1313(6)にも同様の説明があります。
複数の自転車ならLi farbis siajn biciklojn ruĝaj.となります。
なおLi farbis sian biciklon ruĝan blua.なら「彼は、自分の赤い自転車を青色に塗りかえた」となります。(回答:編集部、その他)
*Plena Manlibro de Esperanta Gramatiko <https://bertilow.com/pmeg/>
【La Revuo Orienta誌 2017年11月号より】