Lingva Demandokesto ことばの質問箱 横山裕之編 <34><35>
■昨年11 月号の「ことばの質問箱 A06:あいさつ」の続きですが、もとの「ドリル式エスペラント入門」では深く掘り下げられてはいないところです。
◆質問 Dankon! とPardonon! への応答
おのおのへの応答として、Ne dankinde!とNe gravas. があげられていましたが、ていねいに説明してください。
●回答 (1) Dankon!(ありがとう)へのよくある応答がNe dankinde!(どういたしまして)です。dankinde はdanki (感謝する)と接尾辞ind(~されるに値する)との合成語で、直訳すると「感謝いただくには値しません」になります。他にEstas nenio!(何でもありません)やTute ne!(全く違います)という応答もよく聞きます。(2) Pardonon!(すみません)へのよくある応答が、Ne gravas!(かまいません、おかまいなく)です。gravas は「重要である、大したことである」ですので、否定して「大したことではありません」に当たります。なお、これは主語がない表現で、あえていえば、全体の状況に対して言っていることです。他に、Ne zorgu! (心配しないでください)という応答も聞きます。
ところで、Pardonon! はもともとMi petas pardonon!(私は許しを願います)という意味です。よって「正式に謝罪を受け入れます」という意味でJes, mi pardonasvin.(はい、あなたを許します)とも言えますが、大げさです。ただし、Ne pardoninde! とは言わないでください。これは、「あなたを許すにはあたりません、許しません」ということです。もちろん、本当に許せない時にはこう言うでしょうが。
◆質問 「許す」にあたる語
「許す」という動詞にはpardoni とpermesi がありますが、どう違いますか。
●回答 同じ「許す」といっても大きく二通りの意味があります。
(1) pardoni は過去のことについて「とがめない」ことで「赦(ゆる)す」とも書きます。
例えばPardonu, ke mi venis malfrue hieraŭ!(きのう遅刻したのを許してください、きのう遅刻してごめんなさい)に対して、単にNe gravas! で済ませるのではなく、きちんと、Jes, mi pardonas al vi hieraŭan malfruan venon. (きのうの遅刻を許します)と答える場面が考えられます。あるいは、Ne, mi ne pardonas. Kiel puno, videvas … (いえ、許しません。罰としてあなたは…しなければなりません)のような状況もあるかも知れません。
(2) permesi は未来のことについて「普通はダメなことを、許可する」です。例えば Permesu, ke mi venos malfrue morgaŭ!(あした遅刻するのを許してください)に対して、Jes, mi permesas al vi veni malfrue morgaŭ.( はい、あした遅刻してもよいです)とかNe, mi ne permesas al vi veni malfrue morgaŭ.(いえ、あした遅刻するのは許しません)のような応答があるでしょう。 (柴山純一)
【La Revuo Orienta誌 2020年1月号より】