最新更新日:2024年2月7日
JEI研究教育部
KER試験は、世界エスペラント協会(UEA)が実施するエスペラント語学力検定試験です。語学力のレベルを示す国際標準規格であるヨーロッパ言語共通参照枠(Komuna Eŭropa Referenckadro, KER)に基づいています。なおKERは英語では CEFR(セファール)と呼ばれ、多くのヨーロッパの言語においても同一基準の試験が行われています。
試験は全てエスペラントでおこなわれ、読む・書く・聞く・話すの4技能を測定します。実際上は、読む・書くの筆記試験(skriba)と、聞く・話すの会話試験(parola)の2本立てで構成されます。試験の実施される時と場所によって、筆記試験だけ、会話試験だけ、筆記と会話を合わせた総合試験(kompleksa)の3つの形があります。
本協会では、2012年の第1回目から2022年まで、計10回の世界一斉試験(筆記試験だけ)を実施してきました。(2014年のみ未実施)
KER試験では順にB1、B2、C1、C2(C2が最も高レベル)の4レベルがあります。筆記試験について、各レベルの試験時間と評価の尺度は次の通りです。
- B1筆記(制限時間:2時間)
-
- 主として日常語や自分の仕事に関連する専門語で書かれた文章を理解できる。
- 私的な手紙に書かれた出来事や感情、願望を理解できる。
- 身近なあるいは関心のある話題についてまとまりのある文章を書くことができる。
- 手紙で自分の経験や印象を書くことができる。
- B2筆記(制限時間:3時間)
-
- 著者の意見や視点が出ている現代の問題についての記事や報告を読むことができる。
- 現代の散文文学を理解できる。
- 自分の関心分野に関して、幅広くいろいろな話題について、明瞭で詳細な説明文を書くことができる。
- 小論文やレポートを書いて情報を伝え、ある視点に対する支持や反対の理由を示すことができる。
- 手紙を書いて、ある出来事や体験が自分にとっていかに重要であるかを強調することができる。
- C1筆記(制限時間:4時間)
-
- 事実を記述した文章や文学的な文章について、複雑な長い文章を文体の違いを意識しながら理解できる。
- 自分の専門外の分野であっても、専門的記事や長い技術的説明を理解できる。
- 適当な長さでいくつかの視点を示して、よく練られた明瞭な文章で自己表現ができる。
- 注目すべきと思う点を強調しながら、手紙や小論文、レポートで複雑な主題を扱うことができる。
- 読者を考慮して適切な文体を選択できる。
C2筆記 (制限時間:3.5時間)
- 明瞭な、流暢な文章を適切な文体で書くことができる。
- 効果的な論理構造で事情を説明し、その要点を読み手に気づかせ、記憶にとどめさせるように、複雑な内容の手紙、レポート、記事を書くことができる。
- 専門的な内容の文章や文学作品の、概要や書評を書くことができる。
筆記試験の例題は下記のKER試験案内書 Esperanto de nivelo al nivelo に掲載されています。それぞれ60%以上の正解で合格になります。
試験中は、エス・エス辞典だけは使用できます。携帯電話その他の電子機器は電源を切っておかなければなりません。
KER試験についての様々な有益な情報を、エスペラント教育ポータルサイト edukado.netの試験情報ページで得ることができます。
エスペラントのKER試験案内書 Esperanto de nivelo al nivelo のPDF版が、同サイトからダウンロードできます。リンク先のページの右下にある書籍表紙画像をクリックしてください。
この案内書には、各レベルで要求される技能の様々な例や試験問題例、解答例が筆記と会話の両方について具体的に示されています。
2008年から2023年のKER試験合格者は、世界82か国で2,754人、日本からは102人です。