Lingva Demandokesto ことばの質問箱 横山裕之編 <16><17>
◆質問 特殊な副詞
つぎのことがらは、講習会などでどのように説明されているのでしょうか。
Ne la patro diris tion.
Ankaŭ mi volas teon.
Nur ŝi venis.
などの ne, ankaŭ, nur は副詞ですが、次に来る名詞(や代名詞)を修飾しています。
「名詞を修飾する副詞もある」と説明するのでしょうか。
●回答 はい、上記に加えて almenaŭ, eĉ の計5語は、語尾なしの副詞内でも特殊なもので、その直後に来る語(名詞を含めて)を修飾します。
これら5語は次に来る形容詞、副詞や動詞を修飾する場合も、質問例のように名詞を修飾する場合もあります。さらに、単語には限らず、ne sur la tablo (机の上ではなく)なら sur la tablo という句を、ne ĉar li estas malforta (彼が弱いというからではなく)なら ĉar li estas malforta という節を修飾する場合もあります。
語尾なしの副詞は「エスペラント日本語辞典」では「本来副詞」と呼ばれ、詳しく説明されています。藤巻謙一著『まるごとエスペラント文法』ではこれらは「原形副詞」と呼ばれています。その第7章では語尾なしの副詞について「本来の副詞と同じ働きをするもののほかに、名詞や代名詞を修飾したり、固有の働きを持つものなど、特殊なものが含まれています。」と説明し、さらに同書の7.2.1節でこの5語を詳しく説明しています。なお、語尾なしの副詞の内でも tre, tro などは本来の副詞と同じ働きで、形容詞、副詞や動詞を修飾します。
◆質問 薬品名について
Ĉu vi parolas Esperante*(CD付き会話教材)のp.27 に以下のような、医者から患者(文中のvi)への語りかけがあります。ここに出てくる oksiteracinoの意味が分かりません(辞書にありません)。
Vi devos preni antibiotikojn. Trifoje en la tago vi devos preni pilolon kontraŭ la febro, krom tio — oksiteracinon, sed nepre necese, kvarfoje en la tago.
●回答 本件、著者のA. Pettynにも確認しました。ここで oksiteracino というのは、日本では普通「テラマイシン」といっている抗生物質(antibiotiko)のことと分かりました。英語名 oxyteracin だそうです。
ちなみに、上の文の訳は「あなたは抗生物質を摂取しないといけません。1日3回熱さましの錠剤をのむ必要があります。その他にテラマイシンを1日4回必ずのんでください。」となります。
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【La Revuo Orienta誌 2018年10月号より】