Lingva Demandokesto ことばの質問箱 横山裕之編 <58>
◆質問 未来形の受動態について
例えば、「その郵便は明日配達されるだろう」と思う(思った)。
Mi pensas, ke la poŝtaĵo estos sendita. のように書きますが、 estos sendata あるいは estos sendota とはならないのですか?また、
これらはどう違うのでしょうか? それから、
1)「 その手紙は送られる」について、
la letero estas sendata
la letero estas sendita
la letero estas sendota
の3 つの表現は可能でしょうか?また、意味上の、あるいは状況の違いを教えてください。
2)「 その手紙は送られた」については、
la letero estis sendata
la letero estis sendita
la letero estis sendota
3) その手紙は送られるだろう
la letero estos sendata
la letero estos sendita
la letero estos sendota
については、どうでしょうか?
時制の概念がよく分かりません。
起点とするポイントがどこにあるのか、その考え方を教えていただけませんか。
● 回答 Mi pensas, ke la poŝtaĵo estos sendita. については、 sendi は、「点動詞(瞬間動詞)」という一瞬の動作を示す動詞ですので、「完了」を示す「sendita」は、「送った」というニュアンスになり、適切な分詞形容詞になりますが、「進行」を示す「sendata」を点動詞で使うのは、この場合、行為が普遍的・反復的に行われていないので不適です。また、「sendota」は「未然」を示し、「送られようとしているだろう」というニュアンスになり、問題の内容とは合わないと思われるので、これも不適となります。
なお、「配達する」は、「手渡す」に当たるliveri という点動詞を使うとよいと思います。その場合、「その郵便は明日配達されるだろ
う」は、La poŝtaĵo estos liverita morgaŭ. で、「その郵便は明日配達されるだろうと思う」は、Mi pensas, ke la poŝtaĵo estos liverita
morgaŭ. となります。
また、「skribi」のような行為に時間の継続が想起され、行為の結果が残る「線結動詞」を用いる場合は、「-ata」、「-ita」、「-ota」
を用いることができます。行為の継続だけで、行為の結果が残らない場合(線動詞)があります。結果が残らない場合は、通常「-ita」は用いません(点、線結、線の動詞区分はエスペラント日本語辞典によります)。
「skribi」の場合、動詞+分詞形容詞は以下のようになります。
「la letero estas skribata」は、
現在+進行(手紙は書かれつつある)
「la letero estas skribita」は、
現在+完了(手紙は書かれてしまっている)
「la letero estas skribota」は、
現在+未然(手紙は書かれようとしている)
「la letero estis skribata」は、
過去+進行(手紙は書かれつつあった)
「la letero estis skribita」は、
過去+完了(手紙は書かれてしまった)
「la letero estis skribota」は、
過去+未然(手紙は書かれようとしていた)
「la letero estos skribata」は、
未来+進行(手紙は書かれつつあるだろう)
「la letero estos skribita」は、
未来+完了(手紙は書かれてしまっているだろう)
「la letero estos skribota」は、
未来+未然(手紙は書かれようとしているだろう)。
(編集部)
【La Revuo Orienta誌 2021年10月号より】