Lingva Demandokesto ことばの質問箱 横山裕之編 <59>
◆質問 動詞farigi の使い方
「エスペラント日本語辞典・第2版」p.303の単語[farigi 作らせる]の例文が、よくわかりません。
「~ igi al si jakon <自分の>上着を作らせる」 とありますが、誰に誰の上着を作らせるのか? 対格 -n の用法と合わせて、お教えください。
●回答 辞書の例文では「主語(誰が)」がないので、補って文章で考えます。
まずfari から。「Ŝi faris jakon. 彼女は上着を作った。」で、対格は「何を作ったか」を示します。次に「Ŝi farigis jakon. 彼女は上着を作らせた。」で、対格は「何を作らせたか」を示します。ただこれだけでは誰に作らせたかは分からないし、誰の上着かも分かりません。
これが“Ŝi farigis jakon al si.” と、al si が付くと、「自分に向けて、自分のために、上着を作らせた」となります。厳密にいうと「誰の上着」かは述べていないのですが、彼女自身の上着を発注して作らせたことは想像が付きます。“Ŝi farigis jakon al sia fi lino.”なら「彼女は(自分の)娘のために上着を作らせた」となるでしょう。
では、「誰(例:洋服屋 la tajloro)に」作らせたか、ですが、あまり実例がない中、探し当てた例からいうと、per を使って、「Ŝi farigis jakon al si per la tajloro. 彼女はその洋服屋に上着を作らせた」といえるでしょう。
参考: Vojaĝo al Kazohinio (Sándor Szathmári)の例:kial li ne farigas ĉi tiun laboron per siaj servistoj, なぜかれはその仕
事を(自分の)召使いにやらせないのか。また、エスペラント日本語辞典の「per」の項には、“sendi leteron per sekretario”「 秘書に手紙を出させる」という例文があります。このようにper には「~にさせる」という使い方があります。
(編集部)
【La Revuo Orienta誌 2021年11月号より】