シリーズ「エスペラントの今」第17号
エスペラントの現状を様々な面からご紹介するシリーズの第17回目をお届けいたします。ご質問、取材問い合わせ等は、当協会広報委員会までお願いします。
■多言語・多文化共生とエスペラント
―「エスペラントの日(6月12日)」によせて ―
「国際語エスペラントが多言語・多文化共生に関係があるの?」そんな質問を受けることがあります。母語を異にする人々の間では、どこの国・地域の言葉でもない、共通の言語でコミュニケーションし、言語・文化間の平等を実現しようとする意味で、エスペラント語は、「多言語・多文化共生」を体現する言語です。
実際に、その習得しやすさゆえに、異なる民族間の「橋わたし言語」として、ユニークな働きをしています。
最近の一事例ですが、中古の子ども用車椅子を海外に贈る活動をしている日本のNPO [*1]が、ラオスで現地のラオス語と日本語に堪能な通訳者を探していたとき、エスペラント語使用者が、世界中に広がっているエスペラントのネットワークを活用したことで、たやすく適任者を紹介できました。続いて、同様の協力がベトナム向けでも進行中です。
海外からの留学生、仕事での赴任者がスムーズに日本の生活に慣れるようエスペラントのコミュニティが手助けする事例は、ごく普通のこととして、第二次世界大戦以前から、今も続けられています。
世界に6000以上の言語があると言われています。世界エスペラント協会は、ユネスコの「言語と文化の多様性、多言語の使用、そしてそれぞれの母語を尊重することを推進する」という方針を支持し、ユネスコと長年の協力関係を築いています。( 参考:<https://www.jei.or.jp/esperanto-no-ima-16/> )
●「エスペラントの日」の記念公開講演会:テーマは「多言語・多文化共生」
日本エスペラント協会は、国際共通語エスペラントの普及活動が日本で本格化した全国的団体の創立日、1906年6月12日を記念して毎年の同日を「エスペラントの日」と定め、6月に記念公開講演会を行っています。
今、国内においても、外国出身の在住者、観光客が急増しており、多言語・多文化と向き合い共生することが重要な課題となっています。そこで日本に長く在住し、エスペラント語も含め数多くの言語に通じている講演者、トニー・ラズロさんと春遍雀來(ハルペン・ジャック)さんを講演者として、「多言語・多文化共生」をテーマとした講演会 [*2] を、6月16日(日)東京で開催します。この日の講演は日本語で行われ、二人の対談も予定されています。
[*1] 海外に子ども用車椅子を送る会 <http://kaigaikurumaisu.org/>
[*2] 第8回「エスペラントの日」記念公開講演会(6月16日14時~17時、当協会会館4階) <https://www.jei.or.jp/prelegkunveno_20190616/>
リンク:PDFファイル(260 kB)
第8回「エスペラントの日」記念公開講演会(2019年6月16日)
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