シリーズ「エスペラントの今」第20号
エスペラントの現状を様々な面からご紹介するシリーズの第20回目をお届けいたします。ご質問、取材問い合わせ等は、当協会広報委員会までお願いします。
■遠く離れていてもエスペラント語でつながる輪
― 新型コロナウイルス・世界の仲間からの報告 ―
世界エスペラント青年機構[*1]が「エスぺラント語使用者とコロナウイルス」のテーマで世界の仲間から体験を募集し、まとめた動画を作成し、公開[*2]しました。 (これまでに3回:3月23日、4月4日、4月22日)
日本を含めた、世界の30を超える国や地域[*3]から届けられた動画には、さまざまな若者たちからの声が盛り込まれました。自分の国や滞在先でどのように過ごしているか、コロナウイルスによって日常生活がどのように変わったかなど、思いを語り、励まし合い、呼びかけをしている姿がありました。
サイレンの鳴り響く中で「手伝いをしたいが防護のための服や道具がない」と訴える南米の医学部の学生。旅先のラオスで足止めされつつも、町の様子の写真を交えながら「自分の人生で価値ある必要な時間」と語るドイツの青年。大統領に抗議する映像を送ってきたブラジルの青年…。
フランスからは、休校が長引く中の生徒たちを気遣う教員の思いが伝えられたり、また、沖縄からは、研究で滞在中のイタリア人が見た日本の新型コロナ対応の様子も報告されたりしています。
今夏、モントリオールで開催の予定だった第105回世界エスペラント大会(エスぺラント語使用者による毎年恒例の世界最大のイベント)は2年先に延期が決定。韓国で行われる予定だった第38回東アジア青年エスペラントセミナーや、初開催予定だった第1回フィリピン青年エスペラント大会も、延期や縮小を余儀なくされています。他にも延期・縮小になったり、中止になったりしたイベントは枚挙にいとまがありません。
このような状況下でも、エスぺラント語使用者の間では、インターネットを駆使しながら交流を保ち、さらに海外へ出かけなくても交流ができるチャンスをこれまで以上に見いだしています。中立公平(言語的なハンディあるいは不平等がないという原理)で、なおかつ学習が容易であるエスペラント語だからこそ、多くの人々がつながることができています。
このパンデミックを通して私たちが再認識したのは、人はつながりを求めるということ、そしてエスペラント語が国境、民族、言語の壁を越えた連帯感をもたらしてくれるということでした。■
参考 [*1] Tutmonda Esperantista Junulara Organizo:(TEJO テーヨ)創立1938年、本部オランダ
[*2] エスぺラント語使用者とコロナウイルス: (下記のリンク先参照)
<https://www.tejo.org/esperantistoj-kaj-kronviruso-epizodo-2/>
[*3] 国と地域の例:オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本、フィリピン、インドネシア、ラオス、イラン、ドイツ、イタリア、オランダ、フランス、スペイン、カタルニア、ポルトガル、
ペルー、コロンビア、ブラジル、アメリカなど
リンク:PDFファイル(251 kB)
「エスペラントの今」これまでの発行分