広報委員会 2023年10月5日
シリーズ「エスペラントの今」第29号
エスペラントの現状を様々な面からご紹介するシリーズの第29回目をお届けいたします。ご質問、取材問い合わせ等は、当協会広報委員会までお願いします。
北欧のジャーナリストが語る「ウクライナは今」
(公開講演:10月21日土曜15時半、川崎市)
ウクライナでの戦争が始まって 1 年半以上経ちます。私たちは、現地の人々の思いをどれほど受けとめているでしょうか。
スウェーデン在住の著述家 カッレ・クニーヴィラ氏(写真1)は、ウクライナ(キーウ)にジャーナリストとして駐在の後、在モスクワ・スウェーデン大使館では情報顧問として勤務の経歴があります。著述活動では、2014年のロシアによるクリミアの一方的併合以来、ロシア・ウクライナ問題を含め、旧ソ連地域の歴史や現在に関する書籍を昨年までに、『プーチン派の人たち』や『プーチンの敵』など5冊刊行。いずれも、声をあげない「静かな多数派」や声が届かない少数派の意見や思い、経験を丹念に拾いあげ、それらを大きな歴史的、社会的文脈につなげて提示しているのが著述の特徴です。
2023年刊行の最新作は、『目覚めし国-ウクライナでの語り』(写真2)。ロシアのウクライナ侵攻後、ウクライナでのインタビューを交えて、ソ連崩壊後、独立したウクライナの人々がどのように自分たちの国を作り上げようとしてきたか、そして戦争がその人生に何をもたらしたかを報告しています。
インタビューは、大方ロシア語でしたが、エスペラント語のネットワークを活用し、現地でのコンタクトを広げ、情報収集を深めています。「声なき声」を伝えようとする姿勢は、対等な対話をめざすエスペラント語創始者の精神と共鳴しているといえるでしょう。
エスペラント語のオンライン情報誌『リベラ・フォリオ』1では、本書について次のように紹介しています。「本書では、ふつうのウクライナ人たちが戦争についてのみならず、旧ソ連からの独立からこれまでの30年間のウクライナの変化について語ります。(…)著者は、新聞で多く報道される日々の動向とは異なったことを伝えています。(…)ふつうのウクライナ人たちがいかにして自分たちの独自性について意識するようになり、ソ連と、またその最大の後継者であるロシアと根本的に異なる社会を作り上げてきたかが本書をとおして浮かびあがります。」
10月21日川崎市にて、同氏の公開講演「ウクライナは今」が、開催されます2。クニーヴィラ氏がオンラインで講演し、木村護郎クリストフ氏(上智大教授)がエスペラント語から日本語に通訳。講演後は両氏での対談もあります。
ニュースだけでは伝わってこない現地の実情を知る絶好の機会になるでしょう。■
- リベラ・フォリオ: https://www.liberafolio.org/2023/08/23/ukrainojrakontas-pri-sia-lando-kaj-la-milito/ ↩︎
- 第 110 回日本エスペラント大会 (期間 10 月 21~22 日)>(公開講演) https://jek.jei.or.jp/ja/publika-programo-ja/ ↩︎