「エスペラント / La Revuo Orienta」 1997年1月号掲載

世界共通語は英語ではだめなのか

「世界共通語は英語ではだめなのだ」と思います。

まず、英語は「民族言語」です。 ほんらい、英語はいわゆる英語圏の人々の言葉です。 もし「世界共通語」になったら、英語圏の人々は、 国際交流で圧倒的優位を占めるようになります (同じことは他の有力言語についてもあてはまります)。

次に、英語は「自然言語」です。 はじめから一定の方針に基づかず、 長い間に自然にできあがったために、 言語として首尾一貫した原則を欠き、 不規則事項や慣用語法がたくさんあります。 どこの誰でも気楽に使える「世界共通語」になるには、難しすぎます。

言い換えれば、英語は「特権言語」ということです。 習得が困難なため、お金とヒマがある人でなければ、 なかなか使いこなすまでにはいきません。 いっぽう、エスペラントは覚えやすく、 普通の人でもやる気さえあれば比較的速く基礎を身に付けることができます。 繰り返しとなりますが、 「世界共通語」となるための要件は、中立・合理・容易です。 「特定の言語に特権を与えず、仕組みが規則的で、学び易い」ということです。

現在、英語が広く使われて、あたかも「世界共通語」のように見えますが、 これは一時の便法に過ぎません。 人類の言語問題の解決は、 真の意味での「国際共通語」によるほかはないと思います。

(水野義明)


これは 「Revuo Orienta (1997年1月号)」の特集記事からの抜粋です。 コメントや問い合わせは 「日本エスペラント学会 ウェブ管理人」宛でお願いします。

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