エスペラント図書の多くが、他の言語からの翻訳であることは皆様ご存知の通りです。古くは世界文学の翻訳や、各国の古典のアンソロジー、最近では様々な現代小説の翻訳まで、その種類も内容も多岐に渡ります。今回はそのなかで、あえて最初期の時代、1910年代ごろまでの翻訳を中心になるべくまとめてご紹介いたします。
動詞「kabei」の語源になったカジミエシュ・バインの言によれば、エスペラントの発展にとっては翻訳こそが重要です。実際、エスペラント運動の最初期において、先駆者たちはまず翻訳を通して、この新しい言語の表現の可能性や特徴を試みていたのです。その足跡は、これらの翻訳の中になお残っているのでしょうか。ちょっと覗いてみましょう。
Kial Kabe kabeis?
本ページでは、集められている本の情報をご紹介します。定価も参考に記載している場合がありますが税抜となっていたり、現在の価格とズレている可能性がありますので、ご注文の際はJEIまでお問い合わせください。また、すでに売り切れになっていることもございますのでどうかご了承ください。
また今年度のフェアの予定は以下の通りです。是非ご注目ください。
2023年4月〜6月「エスペラント教育・研究」(終了いたしました)
2023年7月〜9月「絵本・漫画等」(終了いたしました)
2024年1月〜3月「長編作品」
①ザメンホフによる翻訳
- Biblio (KAVA-PECH, 1972) 3,300円
旧約聖書についてはザメンホフ訳が載っています。 - Revizoro de N. V. GOGOL, tradukita de L. L. Zamenhof (JEI, 1978) 880円
- Hamleto: Reĝido de Danujo de Willam Shakespeare, tradukis L. L. Zamenhof (UEA, 2006) 1,540円
- Hamleto: Princo de Danujo de Willam Shakespeare, traduko de L. N. M. Newell (Stafeto, 1964), 1,430円
ザメンホフ訳以外にもハムレットには「ニューウェル訳」があります。読み比べるのも面白いかもしれません。 - Ifigenio en Taŭrido de Johann Wolfgang von Goethe, tradukis L. L. Zamenhof ( Artur E. Iltis, 1982) 1,210円
- Proverbaro Esperanta de L. L. Zamenhof (a Laguna Régulo, 1974) 990円
- Fundamento de Esperanto de L. L. Zamenhof (Edistudio) 3,300円
- Fundamenta Krestomatio de L. L. Zamenhof (UEA, 1992) 1,760円
Hamleto: Reĝido de Danujo de Willam Shakespeare, tradukis L. L. Zamenhof (UEA, 2006) 1,540円
エスペラント最初期の作品。『エスペラント語の基礎』出版の前に翻訳されたもので、ザメンホフがこの翻訳を達成したことでエスペラント語が言語としての道を歩み始めたと言って良いでしょう。エスペラント語の造語力を最大限に活かして生み出された最初の人工言語による悲劇と言えるかもしれません。
(本会会員 まさやさん)
②Kabeによる翻訳
- Bona Sinjorino de Eliza Orzeszko, tradukis Kabe (Fonto, 2016) 1,320円
- Patroj kaj Filoj de I. S. Turgenev, tradukis Kabe (Fonto, 2017) 4,620円
- La interrompita kanto de Eliza Orzeszkowa (Fonto, 2016) 3,190円
- La lanternisto: kaj aliaj verketoj de Henryk Sienkiewicz, tradukis Kabe (Fonto, 2017) 3,080円
- Elektitaj Fabeloj de Fratoj Grimm, tradukis Kabe (Fonto, 2016) 2,640円
- Elektitaj Fabeloj de Fratoj Grimm, tradukis Kabe (Fonto, 1985) 2,090円
- Neĝulino: kaj aliaj fabeloj de Fratoj Grimm, tradukis Kabe (SAT, 2007) 880円
- Unua Legolibro: Gradigitaj legaĵoj kun frazlibro kaj modeloj de leteroj de Dro KABE (Fonto, 2016) 2,200円
③その他の翻訳
- Gefratoj de Goethe, tradukis A. Grabowski 715円
- Aline de C. F. Ramuz, tradukita de René de Saussure (MAS) 2,650円
フランス語圏で有名なスイスの作家シャルル=フェルディナン・ラミュの小説「アリーヌ」の翻訳。邦訳はまだありません(担当が調べた限りの情報です)。翻訳者のルネ・ド・ソシュールは有名な言語学者フェルディナン・ド・ソシュールの兄弟で数学者、エスペランティストです。 - Robinsono Kruso de Daniel Defoe, tradukis A. Krafft (Mondial) 1,650円
- Princo Serebrjanij de Aleksej Tolstoj, tradukis Maria Ŝidlovskaja (Mondial) 3,520円
- Barbaraj Prozaĵoj de Prudenci Bertrana, tradukis Jaume Grau Casas ( Ferdinand Hirt & Sohn, 1926) 275円
- Noveloj de Henryk Sienkiewicz, tradukis Lidia Zamenhof (Ferdinand Hirt & Sohn, 1925)
これはザメンホフの娘さんである、リディア・ザメンホフさんの翻訳です。 - Legolibreto, tradukita de J.Borel (Ellersiek & Borel, 1926) 110円
Ferdinand Hirt & Sohn出版のこの2冊は1920年代出版のものがそのまま現在も販売されています。
④番外編:翻訳についてのエッセイ
- Memoru ĉi praulojn: eseoj pri Esperanto-literaturo de Humphrey Tonkin (Mondial, 2020) 1,760円
ハンフリー・トンキンによる文学に関するエッセイですが、翻訳についてもかなり詳しく論じられています。
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