ユネスコと世界エスペラント協会
(1)国連への請願書
ユネスコと世界エスペラント協会(UEA)の関わりは、1950年に
さかのぼる。同年8月2日、当時米国のレークサクセスにあった国連本部に、ある請願書
が提出された。請願書には100万人近くの個人と、総計1500万人以上を代表する多数の
団体が署名していた。この請願書は、国際コミュニケーションのための単一の第2言語
−−−即ち国境を越えたコミュニケーションのための容易で中立的な手段を万人に提供
する言語−−−の必要性を訴え、国連に対し、国際語エスペラントの普及を助けるべく、
例えば学校におけるエスペラントの教授や観光ビジネスでのエスペラントの実践を奨
励することなどを全力を挙げて取り組むよう要請した。
(2)ユネスコ決議へ
1950年8月8日、国連事務局はこの請願書を、パリにあるユネ
スコに送付し、この問題を担当すべき専門機関であるとした。その結果、1954年12月10
日、ウルグアイのモンテビデオで開かれた第4回ユネスコ総会は、「エスペラントが国
際的知的交流の分野で各国民の友好のために達した成果は、ユネスコが目指している目
的、すなわち諸国民間のより良き相互理解により平和を守ること、文化と教育の普及、
思想・知識・人の交流、教育・科学・文化面における国際協力、言語の相違が作る困難
の克服、世界文明の翻訳推進による古典及び現代著作の世界化、科学知識の普及、技術
用術語の標準化、書面や口述による思想の自由な普及を容易ならしめた等、ユネスコの
目的と理念に合致するものである。」ということを確認する決議を採択した。
1954年決議文面
(3)ユネスコとの協議関係
この決議がもとになって世界エスペラント協会(UEA)は
ユネスコとの間に協議関係を持つようになった。協議関係(当時は協議取決めと呼ばれ
た)はユネスコと非政府機関(NGO)を結びつけることを目的としている。この後、UEAは
ユネスコの主だったキャンペーンのほとんど、特に各国民の友好および諸国民の知的、
文化的障壁の除去に関連があるものにおいて役割を果たしてきた。UEAの出版物にはユ
ネスコの活動を報じる記事が掲載され、UEAの大会や会議ではユネスコの討議テーマに
ついて議論が行われている。また、UEAの出版計画にはユネスコのキャンペーンに関連
した本やパンフレットが含まれている。
(4)ザメンホフ顕彰
ユネスコ執行委員会は、1959年11月25日の会議で、エスペラ
ントの創案者L.L.ザメンホフ博士の生誕100年を記念し、ザメンホフを人類が生んだ偉
人の一人としてたたえるべきである旨、決議した。これは、各国の首相・閣僚・議会議
長・国会議員・教育者・作家・芸術家を含んだ国際的な支援者委員会の後援のもとで行
われザメンホフ生誕百年の多彩な行事の一つとなった。
(5)百周年決議
1987年にエスペラント発表百周年を迎えるにあたって、1985年の
第23回ユネスコ総会は、1954年の決議を参照しつつ、エスペラント百周年を祝い、世界
の加盟国もこれに留意するようにとの決議を採択した。
1985年決議文面